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オレゴン大学の名物科目 – Information Gathering

University of Oregon (UO)で過ごした3年間のうち、思い出に残る授業は多々あるのですが、今日はその中でもSchool of Journalism and Communication (SOJC)で伝説とされるJ202 Information Gatheringについて書いてみようと思います。

そのまえに少しだけUOのSOJCについて。
Journalism Programはfull-majorとして専門分野(Advertising、Public Relations、News/Editorial、Electronic Media、Magazine、Communication Studies)を学ぶ前段階として、pre-majorというステータスでいくつかの科目をパスしなければいけません。これがうちの大学の面白いところで、新聞記事の書き方を学ぶクラスから、文法のクラス、果てまではレイアウトデザインをするVisual Communicationまで、pre-majorはJournalismに関わるすべての分野を広く浅く履修することになります。

そんなpre-majorがぶつかる最難関がJ202 Information Gathering。Journalism専攻以外の学生でもその通称”Info Hell”と聞けば「ああ、あの」と分かるくらい、キャンパス中でも知れ渡った科目。Info Hellは残念ながら2009年のプログラム改編で姿を消しましたが、未だにそれを懐かしむ教授と、強烈な昔話を語り継ぐ学生がうようよしています。

さて、このInfo HellはいわゆるResearch Paperを書くクラスなのですが、学期末に提出する完成稿が最低で100ページ以上にもなるというHellの名にふさわしいもの。授業で教えられるのはPaperのフォーマットくらいのもので、あとは独力で何でも解決していかねばなりません。UOはQuarter制を採用しているので1学期の長さは11週。Week 7あたりからLibraryにはInfo Hellを取っている学生が毎日深夜まであふれ、自分も何度Libraryで徹夜をしたか分からないくらい、とにかく異常に時間を食う科目なのです。

その100ページ超のPaperの構造は決められており、以下のようになっています。

  • Preface (前書き): 1-2ページ
  • Annotation List (ソースリスト): 3-4ページ
  • Annotation (ソース): 70+ページ
    • Journalistic Sources (新聞・雑誌記事) x 9
    • Academic Sources (学術誌に掲載されている論文) x 5
    • Institutional Sources (営利・非営利団体の発行物) x 7
    • Government Sources (政府発行の出版物) x 6
    • Books x 2
    • Interviews (2人は実際に会ってのインタビュー、もう1人は電話・e-mail可) x 3
    • Other sources (Podcast、YouTubeなど上のソースにあてはまらないもの) x 3~
  • Outline (概要): 5-7ページ
  • Essay (本文): 15-20ページ
  • Work Cited (Annotationとは別に引用した文献のリスト): 何ページでも

見て分かるとおり、7割を占めるのがAnnotationで、これはいわば本文に使われている文献の詳細な分析のこと。Government SourcesやBooksはかなり長いものになることがありますが、Chapterの抜き出し可など細かい制約があります。ちなみに発行者/著者の重複は幅広い情報を使用しなくてはいけないという建前のもとに禁止されています。そのAnnotationにしても、何を書くのかは決められています。

  • Part 1: Source Analysis (著者、出版社、発行者の分析)
  • Part 2: Main Assertions (記事が述べている重要なこと)
  • Part 3: Strengths and Weaknesses (記事の強みと弱み)
  • Part 4: Comparisons and Contrasts (他の記事との比較)
  • Part 5: Use in Essay (本文中での記事の使い方)

Info Hellの学生たちは35本以上のAnnotationをこなすのに学期のほとんどを費やすことになりますが、学期中に何度かGTF (Graduate Teaching Fellow、いわゆるTeaching Assistant)へ途中経過としてAnnotationを提出することになっています。ここでSourceの不備を指摘され文献を探し直さなくてはいけなくなることもあり、モチベーションの維持に苦労する学生が続出。Info Hellは毎学期100人ほどが履修しますが、完成稿を提出するため最終日に出席する生徒は全体の3/4ほど。パスすることに全力を注ぎ、C+でも文句は言わない、というクラスなのです。

しかしこのInfo Hellにももちろん良いところはあって、それは情報に強くなる、ということ。
ちょっと抽象的ですが、例えば、ニュースや新聞記事を読む際にそれをどんな人が書いていて、どんな新聞社がそれを掲載する決定をして、それがどういうふうに他の人に引用されているのか、そういった一連の流れを意識できるようになります。文献に書いてあることをまるっきり違う文脈で引用している不自然さに気がついたり、某新聞で中道的な主張をしている著者が、他紙で実はすごく過激なことを書いていたり。裏を読み取る力が強くなる、とでも言えばいいのかもしれません。これで読み物へのアプローチの仕方ががらっと変わります。

とはいえ、11週に渡って感じる並ならぬストレスはたまったものではなく、お金をいくら積まれてももうやりたくありません。学期の後半は連日遅くまでコンピュータへ向き合い、とんでもない量のコーヒーを消費し、食生活はズタボロ。週末はパーティへの誘いを泣く泣く断ってLibraryへ。そんな苦行を一緒に闘っている学生同士の中には妙な連帯感が生まれ、その雰囲気にはなかなかおかしなものがあります。

自分は1度目のトピック選びで失敗した上インタビューを断られ続け、計20人以上にコンタクトしたところで時間切れ。提出敵わず生まれて初めてFを貰うという屈辱を味わったあと、次の学期にリベンジをしてパスという苦い思い出になりました。一度目のトピックは「Food Safety in United States」。二度目のトピックが「Organic Foods in United States」でした。今読み返してみるとどちらもずいぶん強引にまとめた感がありますが、それにしてもよくこんなに書いたものだ思います。現地学生でも相当きついのに留学生ともなると語彙は少ないし、Research Paper特有のフォーマットのせいで大学のWriting Centerはほとんど役に立ちませんでした。

そんな名物科目のInfo Hell。記事トップにある写真は、完成稿を提出したときに貰える「I SURVIVED INFO HELL」缶バッジ。提出するときには一人ずつ名前が呼ばれ、クラスメートからの拍手喝采を浴びながら教授にペーパーを手渡します。「俺はやったぜ」と叫ぶのがいたり、教授にハグするのがいたり、手製の扮装をしてくるのがいたり、そこはやっぱりみんなアメリカンなやりかたでお祝いしていたのをよく覚えています。

おまけ: UOのSOJCがFaceBook Pageで「あなたのInfo Hellにまつわる思い出は何?」ときいたところ、普段では考えられない25件ものコメントが殺到。みんなよく覚えているんです。サムネイル表示になっているので、フルサイズの画像はクリックしてご覧下さい。


  • @rami2929との共著ブログにエントリを1つアップしました。今回はU of Oregonの名物科目Information Gatheringについて。http://tinyurl.com/2egwnpu

    いとう しょう

    September 13, 2010

  • 【rokA feed】 オレゴン大学の名物科目 – Information Gathering: University of Oregon (UO)で過ごした3年間のうち、思い出に残る授業は多々あるのですが、今日はその中でもSc… http://bit.ly/aRkcMj

    疾風

    September 13, 2010

  • rokAブログ新着記事 by @sito_j 【オレゴン大学の名物科目 – Information Gathering】が投稿されました。コメントは @sito_j までどうぞ★http://bit.ly/9TFiVu

    ra-mi

    September 13, 2010

  • オレゴン大学の名物科目 – Information Gathering http://bit.ly/c4P8Q7 via @AddToAny こういうアメリカの教育文化は日本も見習うべきだと思う。 

    Kazushi Okamoto

    September 15, 2010

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